近くに、平屋に喫茶店の看板を貼り付けたような店構えの喫茶店がありました
この前、買い物帰りにその店の前を通り過ぎたときに違和感がありました
そう、店がないのです
実はその店の周辺の道路は、最近工事によって拡張され、キレイな道路になりました
ですが、その店には何の影響もないはずです
その店は道路から少し離れてるのだから
あり得る可能性としては2つだけです
地価が値上がりしたと勘違いして売ったか、ついでに破壊されたか
どちらにせよ、また馴染みの風景が消えたことに変わりはありません
数年前、別の場所に住んでいたとき、スーパーで知らないおばさんから、このあたりは昔は山だったという話を聞きました
あのおばさんは寂しかったのだと今になって気づきました
山を追い出された寂しさと不安は、最初から市街地に生まれた我々にはわからないものです
山で暮らしたこともない我々にはあのおばさんに寄り添ってやることはできません
寄り添えるだけの理解と覚悟がないからです
だから少し話をしてその場を離れました
どんなおばさんだったか、今ではもう思い出せません
ですが、そんなどうでもいいような出来事でも、今となっては懐かしい思い出です
おばさんは今も誰かに自分が山の中にいたことを訴えかけているでしょう
そして人々の中で思い出となり、おばさんは彼らの心の中に永遠に生き続けます
これが永遠の命の本当の意味です
今でも99%ぼんやりとしたおばさんの笑顔が脳裏に浮かんできます
あのときのおばさんは笑っていたのでしょうか